KitsShino

KitsShino’s blog

日本語英語脳内スイッチ活性化を目指す

海外へ飛び出すという選択肢は若者だけの特権とは限らない

大雑把なくくりで見ると、私は国際結婚して海外在住なのだが、実家はバンクーバー。何故そうなったかというと、私が結婚した時期と、父親の定年退職後、第二の人生をどう過ごすかという両親の人生の転機が運良く重なり、比較的簡単に(私たち夫婦がスポンサーになって)永住権が取れて私の両親の年金生活がめでたくカナダでスタートしたのが17年前。

最初に、カナダ移住の案が出た時に、私の方から現地の英語学校に通って英語を身につけて自立して欲しいと提案。最初は、様子見のために学生ビザを取って学生生活を始めたのは、大正解!60の手習いで英語力のアップは大して望めなかったが、英語学校の同じようなレベルの友達とブロークンイングリッシュでコミュニケーションを取るうちに度胸とと自信がつき、ソーシャルライフも充実。私の夫も日本語はできないが、持ち前の察しの良さでコミュニケーションもスムーズにできている。

今年75歳と77歳の老夫婦、言葉もよく通じないバンクーバーで、かなり多忙な毎日を過ごしている。父は、8年前から週に2回夜7時から10時まで自宅で無料で日本語を教えている。現在は、4〜5人のレベルの違う生徒が通って来ているので、アシスタントさんや母も駆り出されて真剣に勉強。そのほかに、息子の学校の送迎、そして、健康のために毎日最低1万歩(最近は距離を伸ばしている)歩きながら、あちこちに食料品の買い出し、時間のある時には隣の町の老人ホームに97歳の日系人のおじいさんの話し相手をしに出かけたり、日本語の生徒さんや友達と出かけたりと忙しそうだ。ありがたい事に日本語の上手な生徒さんが、父の病院の予約の付き添いと通訳を快く引き受けてくれたり、検査のためにもらったプリントの翻訳をやってくれるのでとても助かっている。

母は、息子が行っていた日本語幼稚園でボランティアで先生の補助を週に1度やっているが、お楽しみ会、運動会、卒園式などの行事の度に準備があったり、補助が足りない時は週に3回出かけて駆け回っている。そのほかに、日系人のカラオケグループに出かけたり、週に3回は近所のコミュニティセンターで水中エアロビクスをしながら顔なじみの仲間と交流している。そして、iPadで動画を見たり、ブログを読んだり、LINEでイギリスの孫とおしゃべりしたり、ご飯の支度をしたりいつも忙しそうだ。

米ドルが$1=¥170台だった頃アメリカで学生時代を過ごした時、そう簡単に日本とアメリカを行き来することが出来なかった。いくら北米生活が好きでも、病気の時や落ち込んだ時、そしてホリデーには家族が恋しくてホームシックになった経験もしたから、「実家まで徒歩3分」の現在はまさに夢のよう。そして、それぞれが、自分の居場所でのびのびと活躍できるのも、お互いのサポートがあるからで、17年前の決断は間違ってなかったとつくづく感じる。

ちなみに、この「親子スポンサー」という永住権取得方法は、中国人やインド人コミュニティでは非常に多いのだが、日本人コミュニティでは(いないことはないが)まだ珍しい。国際結婚が増えている一方、日本は高齢化社会という現状を考えると(それぞれの家庭の事情もあるかもしれないが)、日本のシニアが海外へ飛び出すという選択肢も意外とアリなのではないだろうか?

ジョークは言葉の壁を越えられる?

タイトルが、陳腐な恋愛映画のパロディみたいになったが、言葉を教えたり、勉強した人なら1度は考えた事があるテーマかな?

 

最近読んで、とても興味深かった記事。

 

 

rosemarybaileybrown.blogspot.ca

この記事で、アメリカ人妻がセルビア人夫が自分のジョークに笑わないのは言葉の壁のせいだとばかり思っていたら、根本的に「何を面白いと感じるかが違っていた!」という衝撃を面白く描いている。このブログのアメリカ人妻、セルビア人夫の様な国際結婚家庭は、巷には非常に多いのだろうと思う。何故なら、ジョークを通訳するのは至難の業!以前、仕事で(英語圏)某政府XYZ首相の通訳をした時、酔っ払って英語でもそんなに面白く無い駄洒落を(恥ずかしくもなく)披露(しやがって)、どうせそのまま訳してもシラけるだろうと咄嗟に判断した私は「今、彼は冗談を言っているので笑ってあげてください」と切り抜けた前科がある。このアメリカ人妻と同じく、実は私自身も自分のユーモアやジョークは面白いと勝手に思い込んでいたが、ある日、どうしても同僚の一人と会話するのが苦痛で、その原因がお互いに、お互いのジョークを理解できない、受け容れられないからだと悟った日から、異文化、異言語、ユーモアの関係性は、私の日々の暮らしとは切っても切り離せないテーマとなっている。

 

基本的にユーモアというのはPuns (駄洒落)、Silly(おチャラケ)、Sarcasm (皮肉)、Wit (機転)が混ざり合ったもの、そしてSex Topic(下ネタ)、Self Deprecating (自虐ネタ)などの変化系がある。これらのさじ加減がそれぞれの持つユーモアのセンスに反映されて、Sarcasmが多ければ多いほど辛口、Sillyが多ければ体当たりギャグ的な笑いになり、Sex Topicが多いとセクハラになりかねないので、ほどほどに(笑)。

 

我が家の共通言語は英語で、息子と私は日本語、夫と息子は英語、文化的には共通文化はカナダだが、夫はカナダとイギリス、私はアメリカと日本、息子はカナダと日本なので微妙にずれていると思いきや、アメリカで活躍するコメディアンの大多数はカナダ人なので夫と私は、ほとんどのところ共有できている。息子は、日本語学校では駄洒落を連発して周囲を笑わせるが、英語だと日本語ほどポンポンとジョークを飛ばせないらしい。しかし、ちょっと辛口で、機転の利いた切り返しは、夫にそっくりな時があるので、ポテンシャルは高いと信じている。いじりキャラといじられキャラの役割分担が、最初からはっきりできていた私と夫は、20年以上もの間、たくさんの笑いを作り出して共有してきた。もしも、ユーモアのセンスに相性というものがあれば、夫婦としての相性は悪くない。

 

 

因みにオススメは、私も夫も辛口スパイスが利いた時事ネタが大好物だが、夫はRick Mercer

http://www.rickmercer.com/ 、私は Jimmy Fallon
http://www.nbc.com/the-tonight-show  (実はルックスも、キャラも、芸風も、声も全てが好み!私のコメディアン・アイドル!)、そして二人ともJames Corden
www.youtube.com
が、気に入っている。そして、私の北米生活は、この番組無しには語れない SNL!(特にWeekend Updates)

 

 

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性教育は最初が肝心

我が家には、もうじき10歳になる息子がいる。好奇心がとても強く、興味を持った事はグイグイ吸収して、自分の知識にしてしまう・・・が、彼の知識欲は、時として親の意図してない方向に広がる場合もある。息子の場合、2歳を過ぎた頃から、医療への全般的な興味が著しく、黄色いひよこのついたスーツケースに大きく(夫が描いた)赤十字のマークを貼り付けて、おもちゃの医療用具を入れてガラガラ引っ張って歩いた。その後、テレビで観たボーダーセキュリティにハマり、麻薬の種類と流通ルートを覚えて誕生日プレゼントには、医療機関専用薬物検査キットをせがまれた。それから、救急隊員、救急救命医となりたい職業は移り変わっているが、立派な医療ヲタクに育って来ている(笑)。

 

そんな息子が、毎年学校で行われる性教育の授業を受けて来た。カナダの性教育は、日本のそれとは違い、男女一緒にボカシ(birds, bees)なくきちんと男性器、女性器の名称を用いて行われる。もちろん、子供の作り方だけではなく、避妊の事だって教わるし、ちゃんとセックスの基本を教わる絶好の機会だった。クラスを終えた後の息子は、周りの大人を捕まえては、セックスに関する質問をするのが楽しそうだった。ただ、息子の理解だと「男女がチョンチョンってやると子供ができる、でも、避妊すると子供はできない」「セックスの目的は快楽と子供を作る事」と単純明快。最初は「マミィとダディもチョンチョンってやったはずだが、Where?When? How long? How many times?」なんて質問にいちいちユーモアを交えて答えながら、チョンチョンしない子作りの話もしてやろうと、ついでにinvitro(試験管)の説明。案の定、興味津々、目はキラキラ。カナダでは、同性婚も多く、息子のお友達にもママが2人の家庭があったり、シングルマザーで出産したりと子供を授かる方法もそれぞれ違う。友人のレズビアン夫婦は片方の卵子と精子銀行で手に入れた精子を掛け合わせて、もう片方のお腹で育てるという方法で子供を授かった例、どうしても子供を欲しくてゲイの男性から精子を提供してもらって産んだシングルマザーの例など多種多様なので性教育も当然、奥が深い。実は、私もゲイカップルから多額の報酬と引き換えに卵子とお腹を貸して欲しいという話を持ちかけられた事が過去にあるが、断ったというちょっとした自慢話にも、息子は真剣に耳を傾けてくれた。

 

知りたいことを一通り聞いたら、息子のセックスへの興味関心も一気に薄れ、ちょっと拍子抜け(笑)。でも、性教育だって最初が肝心・・・これからも、どんどん好奇心を満たして、大きく育って欲しい。

 

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「頑張る」ってどういう事?

 私は、自分自身の事を「自分に甘く、他人に(ちょっと)厳しい」奴だと自覚している。だが、そんな私でも北米人の自分への甘さには、日々、開いた口が塞がらない。例えば、テレビのリアリティーショーなどで、負けてその場を去る人の常套句「I am proud of myself!(私は、自分を誇りに思う)に、いやいや、根性が足りなかっただけでしょうと突っ込みを入れた日本人は私だけじゃないはず。

 

ウチの夫は、優しくて家事も上手にこなして、実家の両親にも細やかな気配りで、家族のことを第一に考える素晴らしいパートナーだが、粘りとか意地とか根性という言葉は辞書にないらしい。己の限界の手前でストップするので、キャパが小さい気がするが、それは彼だけのせいじゃなくて、北米社会全体或いは英語思考の副作用とでも捉えるしかないだろう。一般的に、日本人は「頑張れ」と言われたら「自分の持てる力以上を出し、結果を出すんだ」という意味が込められているとわかるが、何故かこれが英訳されると「Do your best」とか「Work hard」になってしまう。英語にはそれ以上の「頑張り」は、存在しないのか?残念ながら、私には見える「Do your best」の先は、夫の青い目には見えていないし、見えようがない。それでも、夫婦は繋がっていられる。

 

余談だが、台湾系カナダ人で日本語検定1級保持者の友人曰く、北京語の「加油」は、日本語の「頑張れ」と同じ意味らしい。